スターナッツ後編

皆様お久しぶりです。

今回はこの前の続きを書いていきたいと思います。良かったら前編も暇な時に読んでください。

 

 

正直に喧嘩をしましたと告げる。

 

コーチは叱るでも殴るでもなく、俺を笑って褒めてくれた。このご時世良い経験が出来たなと。殴った手が痛すぎて練習に支障が出たのは気合と根性で乗り越えらと言われた。ここで普通の大人ならむしろ俺を怒って練習に参加させなかったのではないかと思う。だがコーチは中学生の私の気持ちをわかって、通るべき道だと理解してくれて笑って褒めてくれたのである。

 

 

あと他に何個か変わった思い出があるのだが、面白いのを選ぼう。

ナッツグラウンドはサッカーコートの周りは森になっている。そのため野生の動物がよく遊びに来る。鹿、猿、キジ、狸、ウサギ、そして厄介者なのがモグラモグラがグラウンドに住み着き無数に穴を開けてしまうのである。これにはコーチも困り果て、夏休みの午前中の練習がモグラの穴埋めだったりモグラ退治だったことがある。野良猫、野良犬もよく遊びに来てはコーチが餌をあげてどっかに去ってってまた遊びに来るみたいな環境だった。夏に出るゲジゲジとムカデにも中2になる頃には慣れていた。

 

 

あとは少し苦い思い出も多々ある。1度練習試合で不甲斐ない負け方をして、コーチに怒られたことがある。会場は末広中学校で本千葉あたりの中学校と試合をした。私達は中1のに対して相手は中3のヤンキー。試合中も殺すぞなどの罵声が飛んでくるようなまともな試合ではなく、萎縮した私達は負けた。コーチはあんな奴らに萎縮してサッカーできなくなるくらいなら辞めちまえと言い、グラウンドまで走って帰ってこいと告げ、私たちの荷物をバスに積みグラウンドに帰ってしまったのである。こうなったら本当に走るしかないのである。千葉から八街まで。中1が。

道中に謎のスポーツドリンクが置いてあり、「ナッツ、飲め」という張り紙だけがしてあってコーチが置いといてくれたのだと皆気付く。試合の後に更に20キロ走らされてグラウンドに到着するとコーチお手製の晩ご飯があってそれを食べてみんなで寝た。いやにしてもめちゃくちゃキツかったな。

 

あと、もう一つキツいと言えば、「走れ」である。これやばい。これはチームの誰かが本当に人としてやってはいけないような事をしてしまった時にコーチが「走れ」と言う。この走れはコーチが「やめ」というまでグラウンドを走り続けなければいけなく、大体4時間は走る。連帯責任を学ぶためとはいえめちゃくちゃ理不尽な制度である。ナッツにはプールもあるのだが、私が試合終わりにアイシングとしてプールに浸かってる時にチームメイトが野良猫をいじめて「走れ」が発令された。私はびしょ濡れの体パンツ一丁裸足でそのまま走り切った。そしてその夜、クラブハウスの風呂の蛇口が壊れているのに犯人が出てこず、「走れ」が発令された。1日に2度の「走れ」は致死量をも超える。結局犯人が自首して「やめ」が発令されて2時間ほどで終わったが、マジであの時は死んだ方がマシとまで思っていた。

 

 

なんやかんやで楽しい思い出も多く、夏休みサッカーばかりで遊びに行けない私達の為に練習内容が川で釣りだったり、プール遠征という名のコーチも一緒にプールに遊びに行く行事だったり、流しそうめんだったり、辛い思い出の分楽しい思い出を思い返す事も多い。

 

良い3年間であった。